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2008/12/21

東雲斎喜一「碁盤截(ごばんきり)」

【世紀末亭】12月21日定期アップ

2008年春先より懸念されていた米国経済の不安定が、秋にはついにおよろしくなく、10月に入って世界を巻き込む株価大暴落を引き起こしました。結果、個人消費の冷え込み、企業収益の下方修正、設備投資の低下、個人投資意欲の減退、原油価格の下落……、今まさに景気低迷(テイマイじゃなくテイメイね)、不況の真っ只中なのだそうです。

仮隠居生活を送るわたくし個人的には、ここしばらく続いていた消費者物価急騰が少しは抑えられるのではないか、原料価格高騰、原油価格高騰を理由に値上げされた商品価格が元に戻るのではないか、あるいは嬉しいデフレがくるのではないか。と、密かに期待をしております。

と申しますのも、多少のインフレは織り込み済みとはいえ、蓄え食い潰し予算の上に成り立つ我が家の経済は、世間様が「好況、好況」と浮かれるのが何より怖いのです。これでまた、あと数年はこころ穏やかな生活が営めることとホッとひと安心。

怪我の(カイガではなくケガですよ)功名かどうか、未曾有の(ミゾユウではなくミゾウですよ)物価急騰を見越し緊縮予算を組んだお陰で、どうやら今年度は予想外に大幅な予算未消化が発生しそうな状況です。

 普通の生活を送る家庭ならば、剰余金処分ということでパ~ッと派手に使うこともできましょうが、先行き何が起こるか分からない我が家ではそっくりそのまま次年度へ繰越す予定にしております。

こう頻繁に(ハンザツではなくヒンパンですよ)物価が乱高下するようでは財布の紐を緩めるわけにはいきません。来年度も緊縮予算を踏襲し(フシュウではなくトウシュウね)気持ちを引き締めてかからないといけないなぁ。と、麻生さんの迷読を交えたお題噺風仮隠居の生活経済でした。

そんな経済の動きとはまったく関係なく、こちら世紀末亭は不況であろうがなかろうが、これからもほぼ2週間に1演目、新しいネタを追加していくつもりでおります。しかしながら、その新しいネタを探すのがひと苦労になって久しく、これが大きな悩みのタネでした。

ところが先日、ひょんなきっかけで明治時代に発刊された速記本「吹替息子」を現代仮名遣い、言い回しに改編する機会があり、やってみると「これはいける」やないですか。速記本には上方落語あり、上方講釈あり、そして江戸落語もあり、改編の元ネタとして使えそうです。

「お前の改編なんか読みたないわい」のお声ごもっともですが、せっかく手に入れた新しい材料、しばらく使ってみたいと思いますので、生暖かく見守っていただくようお願いしつつ、ここに「第10集はじめに」をしたため、世紀末亭を開演したいと思います。

●東雲斎喜一「碁盤截(ごばんきり)」:江戸落語「柳田格之進」
両替商の嘉右衛門は息子に店を譲り、浪人・柳田格之進と碁を打つのを楽しみに楽隠居生活を送っていた。春先のある日、いつものように夢中で碁を打ち合っているとき、店の者から「五十両の金を奥で預かっていただきたい」と渡された包みを、生返事で「はいはいはい」懐へ入れ手水へ立つ。やがて格之進も帰り、息子が金を受け取りにくると、預かったはずの金は部屋のどこにも見つからない。店の者総出で捜すうち「あの柳田格之進というやつが、まったく油断のならぬ者でございます」番頭が言いだした……
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug451.htm

●露の五郎(五郎兵衛)「大丸屋騒動」
伏見の造り酒屋「大丸屋」の跡取り長男の嫁は、宮司の娘であったことから「妖刀村正」を一振り、嫁入り道具として持参する。次男の宗三郎はこの刀を気に入り、借り受けて一人眺めては心を落ち着かせていたある日、兄の名代として出た酒宴で会った芸者と深い仲になり「おとき・宗三郎」の浮名を流すようになる。親戚たちは苦言を呈するのだが、兄はおときを引かせ「互いに三月(みつき)のあいだ会わないで謹慎すれば、一緒にして店を持たせてやろう」と宗三郎に約束する。しかし、三月にあと少しというところで、宗三郎はおときの住む富永町へと足を向けてしまうのだった。しかも腰には村正が……
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug212.htm

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2008/12/07

桂米朝「開帳雪隠」

【世紀末亭】12月7日定期アップ

2006年9月17日、天満天神繁昌亭のオープンと同時に始まった【上方落語メモ第9集】を無事終えることができ、ホッとひと息ついております。貴重な音源のご紹介や言葉の意味・解釈、専門的なデータのご教示など、バックでご協力いただきました皆々さま、本当にありがとうございます。

さて、この2年間を振り返って、特徴的な言葉は「プチ上方落語ブーム」と言えるのではないかと思います。前半はもちろん「天満天神繁昌亭のオープン」でしょう。そこへ行けば毎日落語が聴ける、ということは自分の都合に合わせて日を選んで出かけられる。今まで躊躇していた足を向けさせるに十分な吸引力がありました。

開亭2周年を越えた今なお、昼席は満員御礼状態が続いているとお聞きします。上方落語の核、大阪大衆芸能・伝統芸能の砦の一つとして深く根を下ろし、ますます枝葉を伸ばしていってもらいたいものだと思っています。

後半は2007年9月から放映された某国民放送局の朝ドラ「ちりとてちん」でした。若狭の小浜から女流落語家を目指し大阪へやって来たヒロイン和田喜代美が、徒然亭若狭として成長していく過程を描いた作品でした。「やっぱり、噺家や~めた」と結末の出来はともかく(ともかくかいッ)全国津々浦々に「上方落語」の存在を知らしめた効果は絶大でした。

具体的な数字を上げるなら【世紀末亭】への1日来場者数が放送開始前に比べ、倍増以上の1000人を超える日々が半年のあいだ続いたことからも明らかです。放送終了と同時に激減してしまったのは残念ですけど、若干の底上げ効果はあったらしく、現在なお1日600名弱訪れていただいております。

とは言え昨今、世間ではもっぱら「ちりとてバブル崩壊か?」との声も聞こえてまいりますが、このどさくさまぎれに「襲名バブルを生み出せ」とばかり小米朝→米団治、春菜→春蝶、つく枝→文三、小つる→枝鶴と続く予定があり、方法はいろいろありましょうが、上方落語の隆盛につながるなら、何でもやったらえぇやないの。

そんな実落語世界の動きに影響されつつ、我ながらよく続くと思うぐらいコンスタントに月4演目の追加とリニューアルを重ね、ここに「第9集あとがき」を記すことができました。

今のところ、多少モチベーションの低下傾向は見られるものの、まだまだ続ける余力は残っております。2008年12月21日の次回更新より【上方落語メモ第10集】を開始する予定ですので、引き続きご愛顧の程お願い申しあげます。

●桂米朝「開帳雪隠」:別名称「雪隠の競争」
阿弥陀池、本名和光寺さんで善光寺さんの出開帳があり、連日あふれ返っている。常の何十倍という人々が押しかけるのだから、さぞかしトイレ問題が深刻だろう、そこで、臨時簡易トイレを設置して銭を取ったら儲かるはず。と、考え実行してみたところが、案にたがわず大入り満員の大盛況で、ちょっと濡れているが大儲けになった。ところが問題発生、初日、二日目はよかったのに三日目、客足がパッタリと止まったのはなぜ? それは強力な同業者が現われたからである。そんなことで諦めてはいけない、ここに一つの秘策が……
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug450.htm

●桂米朝「堺飛脚」
船場から堺の大浜まで手紙を届けるように依頼された飛脚屋さん、早朝先方へ到着するため夜が明ける前に出発し、飛田の森を過ぎようとする頃、行く手を遮ったのは一つ目小僧だった。「どうせド狸が化けたに違いない、化け物の古典か、古臭いわい消えさらせッ!」一喝するとパッと消える。が、しばらくすると傘小僧「古臭いわい、消えさらせッ!」次は高入道(たかにゅうどう)「もっと古臭いわい、消えさらせッ!」その次がノッペラボウ女「あきれるぐらい古臭いわい、消えさらせッ!」その次が……
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug211.htm

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