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2008/11/16

曽呂利新左衛門「吹替息子」

【世紀末亭】11月16日定期アップ

わたしが小学2年当時、テレビがまだ白黒だった頃、アメリカン・ホームドラマのなかで、子どもが自転車を庭へ横倒しに放り出して家に入っていくシーンの記憶があります。たびたび見たので、彼の国では普通の行動だったのでしょうが、子ども心に「何というもったいないことをするんだ、自転車を放り出すなんて。もっと大切に扱え」と思ったものです。

日本庶民にとって自転車はまだまだ高嶺の花であり、ましてや子ども専用の自転車なんて、お金持ちと思われているお坊ちゃんでさえ持てなかったそんな時代ですから、羨ましさとカルチャーショックで「何てことを……」と記憶に残っているのです。

そんな「何てことを」な光景、今やこの日本でも日常的に見ることができるようになりました。先日も近くの児童公園で、スタンドを掛けようともせずガシャ~ンと自転車を横倒しに放り出し集まる子どもたちを見て「あぁ、日本も豊かになったもんだなぁ……、馬鹿野郎ッ!」と、オッサンはちょっと悲しい。

わたしが専用自転車を持ったのは小学4年のとき、全体に錆びが浮き、タイヤ、チューブがボロボロに腐った鉄の塊をご近所からもらったのが最初でした。ペーパーで錆を落としラッカーを塗り、親をなんとか説得して自転車屋さんへ持ち込んで、タイヤ、チューブの交換とブレーキをはじめ各所の整備。苦労して手に入れたものは大切にしました、乗るより磨いている時間の方が長かったぐらいです。

2台目ももらい物でしたね、こちらは内装3段変速の軽快車タイプ。でも変速機のギヤが壊れていて実質2段、ほかは十分満足できるものだったのに、3年目の夏に盗難にあって悔しい思いでしばらくは自転車のない生活が続き、高校生になって初めてのバイトで買ったのが新品の自前、憧れの12段変速ドロップハンドル・スポーツタイプでした。

以来、指折り数えて今使っている折りたたみミニ自転車まで6台「総計何キロぐらい走ってるんやろ?」計算しようとして、できるわけないのでやめますが、ミニ自転車だけは距離計が付いているので分かります。購入して2年で2,300キロ、誤差1割としても2,000キロは確実に超えています。今、日本地図を広げて測ってみると、ほぼ北海道・知床半島から鹿児島・大隈半島まで。自転車も頑張ったが、わしも頑張った。

●(二世)曽呂利新左衛門「吹替息子」:江戸落語「干物箱」
船場で商いをする親父さんは堅実と言うか、丁稚も置かず家族だけで店を切り盛りする倹約家なのに、生まれた息子は、ウソをついて御茶屋通いをする放蕩者に育ってしまった。今日しも意見され、強制的に帳場へ座らせられているところへ、出入りの八百屋の喜助が訪ねて来たので「今夜、遊びに出かけたいから、俺の身代わりになって寝間で寝ていてくれ」と頼む。実はこの八百喜、器用に声色もの真似ができるのだった……
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug449.htm

●笑福亭松鶴「猫の災難」
朝酒喰らって酔っ払った男、まだ呑み足らないのか魚屋で腐った鯛をタダでもらって帰り、フラッと訪ねて来た友達を酒の段取りに走らせた。そのあいだに鯛を調理すると見せかけ「猫が来て、持ち逃げされた」と言いわけし、またまた肴の段取りで走らせているあいだに、先ほどの一升瓶はすっくり空。戻った友達には「猫が来て、持ち逃げされそうになったので、追い払おうとしたら酒がみなこぼれた」そうたびたび猫を口実に使われては猫が黙っていない……
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug210.htm

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2008/11/02

桂文太「松島心中」

【世紀末亭】11月2日定期アップ

ようよう秋も深まって、食べ物が美味しい季節になってきました。って、わたしの場合、秋に限らず年がら年中欠食児童のように食べ物は旨いのですけど。気温が下がってくると、おでん、鍋物など煮込み系の熱々を楽しむ料理が特に美味しく感じられます。

食べ物をいろいろ思い浮かべてみて、それぞれイメージとしての重みを持っているように思いませんでしょうか? たとえば、中華料理>フランス料理>和食であるとか、すき焼き>寄せ鍋>はりはり鍋(鯨と水菜の鍋)であるとか、鍋料理>お寿司のようにです。お寿司のなかでもマグロ>イカ>カッパ巻きと、食べ物の重さに違いがあると思うのです。

先日、昼間の落語会に参加する機会がありまして、終演後、見知った女の子を「お疲れさん、ほんじゃまた」とか言いながら送り出し、落語好き仲間と少しコアな話をしながら10分ほど遅れて駅に向かいました。ホームで電車を待っていると、先ほどお見送りしたはずの女の子が遅れてホームに上がって来られます。

「あれッ、何してたん?」「おうどん食べててん、カレーうどん」「そら、昼ご飯? それとも晩ご飯?」「ちょっと、虫養い(注:小腹が空いたときにとるごく少量の食べ物)」「大きな虫飼ぉてんねんなぁ」と言いそうになりましたが、そこはこらえて、その日の夕食に予定していた“冷凍チャーハン+冷凍うどん”をカレーうどんにするヒントをいただき帰宅したのです。

近所のスーパーではうどんを複数玉買うと割引の特典が付くので、たくさん買い込んでは冷凍保存します。チャーハンも一度にたくさん作り、小分けにして冷凍保存しますから“冷凍チャーハン+冷凍うどん”の取り合わせ登場頻度はかなり多いのです。大阪人の特異性を象徴する主食副食ダブル炭水化物「チャーハン+うどん」どちらが主食で、どちらが副食か? 気持ち的にはチャーハンが主で汁物のうどんは従でした。上記の重さのイメージでいえば「チャーハン>うどん」ですね。

ところが、実際「うどん」を「カレーうどん」に変えてみると「カレーうどん>チャーハン」と、主従が逆転してしまいます。彼女にしたらカレーうどんは虫養い程度の軽いものだったようですけど、わたしの感覚では少なくともチャーハンよりは重い、カレーうどんは重過ぎる。やっぱり、虫養いは「素うどん」にすべきだと考えます。

●桂文太「松島心中」:江戸落語「品川心中」
お染は松島遊郭でもトップを争う名の知れた存在であった。しかし、年月の経過というものは恐ろしいもので、若い子がドンドン入ってくるとその地位も段々落ち、いまでは季節きせつの衣装替え「移り替え」もできず、新参の子にまで馬鹿にされるようになっていた。あまりの悔しさに「いっそ死んでしまいたい、けど一人で死ぬとまた馬鹿にされるので『心中』ならロマンチックかな?」と思ったか、馴染みの金ちゃんを言いくるめて、二人して裏の海に飛び込む手はずが……
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug448.htm

●桂米朝「釜猫」
茶屋遊びが過ぎるというので、若旦那はついに二階に禁足、便所へ行くにも親旦那の許しがいる状態になっていたある日、便所の窓から外を眺めていると馴染みの町だいこ(アマチュアの太鼓持ち)磯七が通るのを見つけた。「うちにある味噌豆を煮る大釜を借りに来てくれ、その中に入って逃げ出すから」悪い相談がまとまるが、隣りで親旦那が聞いていたから大変。若旦那の運命や如何に……
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug209.htm

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