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2007/11/18

笑福亭松之助「後家殺し」

【世紀末亭】11月18日定期アップ

♪ドレミ~レド、ドレミレドレ~……、夜の十時を過ぎた頃、わたしの住まう町内には「中華の夜鳴き」が回って来ます。それがどうした別に珍しくもないとお思いでしょうが、あの ♪ドレミ~レド、ドレミレドレ~、がテープ録音&スピーカー再生ではなく、今時本物のチャルメラを生の演奏で楽しめるのが珍しいのです。

気付いて数年になりますか、はじめの頃はうまく吹けずに ♪ドレミ~……、ドレミ~……、ドレミ~……、だったのが、最近はずいぶんと達者になられたとみえ即興で装飾音を付けたり、コルトレーン張りにモード手法を駆使したり、なかなか聞かせてくれます。でも、片手で屋台を引きながら、片方の手で演奏するわけですから、たまに調子がずれて ♪ドレ♭ミ~レド、と鳴ったりしても、これはこれでブルージーでおつなもの、オッチャンなかなかやるやないの。

暑い夏のあいだには同じメロディーを使用して「わらびもち屋」さんの軽ワゴンが回っていました。♪わらび~もち、わらびいもち~……、このおじさんも、拡声器を通してはいるもののライブの売り声です。で、季節が移ると同じ声で ♪やきいも~、おいしいおいしい、おいもだよ~……、こちらは「ドレミレド」ではなく、伝統的な焼き芋屋さんの売り声というのがちょっと残念、同じことなら「ドレミレド」で揃えてほしかった。

ちょうど焼き芋屋さんの登場とシンクロするように、売り声ではありませんが消防署の広報車が火の用心と、場所柄からか「放火予防」を知らせに回りはじめます。家の周りが雑然と片付かなくて、新聞紙そのほか燃えやすいものを置いているところが狙われやすいのだそうです。近所でもたびたび被害が出ているので、早速プラスチックの空植木鉢を取り込んでおきました。

場所柄といえば、放火と並んで「引ったくり」が多いのも我が町の特色でしょう。工場・商店・住宅・マンションの渾然一体地域であり、旧大和川沿いで道が曲がって狭くて見通しが悪い、そんなところを犯罪者につけ込まれるのか、最近では昼夜問わず「引ったくりに気ぃ付けや」と、警察署の広報が回っているにもかかわらずこの2週間のうちに3件も発生しているのですね。

世間では「引ったくりは大阪名物」とか言うらしいですけど、それを実感できるのが大阪府警のサイトで発表されている「犯罪発生マップ・ひったくり(昨年1年間、過去1か月間、または今年1月から現在まで)」さきほどの「2週間のうちに3件発生」も、このサイトで確認できました。

で、ジ~ッとそのマップを睨んでいてひらめいてしまったのです。その地図には引ったくり発生場所が赤色でマーキングされており、マークが密な地域とそうでない地域が一目瞭然になります。警察と市民側から見るならば「密な地域は危険なので気をつけろ」というメッセージを受け取れます。が、犯罪者側から見れば「疎な部分は警戒が薄いので ♪ドレミ~レド、ドレミレドレ~……」

●笑福亭松之助「後家殺し」
浄瑠璃が好きだった伊勢屋の大旦那の一周忌に、供養のため町内の素人浄瑠璃が呼ばれた。なかでも芳蔵という男、玄人裸足の語りで、感極まった客から「後家殺しッ!」と喝采を浴び、未亡人からは「明晩、またお越し願いたい」との手紙を受け取る。何事か知らんと出かけたところ、酒・肴が用意された奥の座敷に二人きり、やった取ったの末に男と女の関係になってしまった。淫らにだらだら月日は流れ、一年ばかりたったある日「伊勢屋の後家は小料理屋の喜助とできている」の噂を聞き、真相を確かめるため訪ねると……
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug425.htm

●桂ざこば「天災」
気に入らぬことがあると見境なく暴力を振るう男、今日しも夫婦喧嘩の末、嫁さん、母親の眉間に拳骨を食らわせてポイッと家を飛び出し、中川のご隠居の家に上がり込んだ。わけを話すと「お前がいかん、心学の先生の話を聞いて心を入れ替えろ」と諭され、その足で南炭屋町の紅羅坊名丸先生を訪ねることに。すると「災いは何事も天がもたらしたもの、天災と思って諦める心を持ちなさい」言いくるめられ、分かったような分からんような気持ちで家に帰れば、隣の松っちゃんが別れた嫁さんと大喧嘩だという。今聞いたばかりの話で松っちゃんを諌めようと出かけるのだが……
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug186.htm

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2007/11/04

桂文我(三代目)「覗き医者」

【世紀末亭】11月4日定期アップ

前回の最後の言葉「たぶん他人さまに対しては意識的にかなりフェイクかましてますので、お気を付けください」を受けまして、それならば「わたしとはどんな人間なのか? セキ・ララに申してみよ」と言われると、これが隠すよりなお、難しいのです。

言葉どおり全裸、スッポンポンになって、氏名、生年月日、学歴、職歴、賞罰、身長、体重、視力、聴力を書いた看板とともに台の上に立たせ、撫ぜたりさすったり叩いたり突っついても、外皮の触感や形状は分かるものの内容物、特に精神的なものなど知れようはずありません。

そこでどうするか? 手はじめに日常の素行を数値で表してみましょう。
 ・先月落語会に出かけた回数は7回である。
 ・先月落語会に使った経費は9400円である。
 ・先月落語会1回あたりの単価は1343円である。
 ・先月自転車で走った距離は138.8kmである。
 ・先月自転車で走った距離を交通費に換算すると4500円である。
 ・先月自転車で消費したカロリーは1584.7kcalである。
 ・先月消費したコーヒーの量は674gで、費用は640円である。
 ・先月消費した米の量は2870gで、費用は1148円である。
 ・先月の水光熱費はガス1351円、電気3066円、水道1380円である。

お分かりかな? 分からんじゃろぉなぁ……、では話を変えましょう。ここに一人の噺家がおります、特に名前をあげるまでもなく、落語を語るという噺家。この噺家が地方のさる集まりに呼ばれ、落語を一席所望されました。

さて高座に上がれば満員の客席、気合を入れて語り始めると見知らぬ人が一人舞台上に現れ、つかつかと歩み寄って横に立ち、手振り身振りで話の内容を客席に向かって解説しはじめます。ご存知のように、落語という芸は小道具があるわけでなし、大道具があるわけでなし、演者と客、1対1の勝負、差しの芸であります。

頭の中に妄想を膨らませて成り立つ芸のその最中、横に立って手振り身振りで気を散らせる行為に、この噺家はついつい「舞台の下に降りてくださいませんか」事情を聞けばありがたや、この方は当日お越しになった数名の聴覚障害の皆様のための手話通訳だったというではありませんか。

そこでです、噺家の取ったこの行動を許せるか許せないか、それに答えることで「わたしとはどんな人間なのか?」ということが知れるはず、と考えたのですがどうでしょう? そして、わたしの答えは……、続きは日を改めまして。

●桂文我(三代目)「覗き医者」:香具師(やし)・的屋(てきや)「蛇の薬売り口上」付き
愛娘の縁談が決まり、嫁いだ先ではゆっくり物見遊山もままならないだろうと、親旦那は番頭と丁稚を伴って四人でブラブラあちこちを見物して回る旅に出た。ところが「水が変わると体の調子が変わる」のたとえ、田舎宿に泊まった晩、お嬢さんが急に腹痛を訴え苦しみだす。宿の帳場に尋ねると、辺鄙な田舎のことゆえ医者はいないが「医者のような者」ならいるというので、早速呼んでもらうことに……
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug424.htm

●桂文枝「軽業講釈」
伊勢参りの道中、喜六・清八が村祭りの見世物小屋に寄るのは「軽業」だが、実はその軽業小屋の隣で同じく小屋をかけていたのが講釈師の先生だった。いつもの調子でいつもの「難波戦記」を語り始めると、軽業小屋からは客寄せのお囃子の音が遠慮なく押し寄せてくる。あまりのうるささに辛抱たまらなくなり「軽業ぁ~ッ、軽業ぁ~ッ!」大きな声を上げると、若い衆が飛んで来て「お囃子部屋へ言ぅときますんで、えらいどぉも済まんこってす」謝って帰って行く。が、またしばらく語るうち、お囃子の音が大きくなって「軽業ぁ~ッ、軽業ぁ~ッ!」すると、若い衆が飛んで来て……、が……、すると……、が……、すると……、が……、すると……
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug185.htm

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